免疫グループの代表的な研究内容

1)膵癌患者の免疫寛容改善を目指したPtch1ペプチド(Hedgehog signal阻害剤)を用いた膵線維化抑制療法の開発

膵組織の線維化が、膵癌治療に対するバリアを形成し治療抵抗性の一因となっている。膵癌組織の線維化については、近年、膵癌で再活性化が認められるHedgehog(Hh)シグナルが膵組織の線維化を誘導することが報告された(Jung IH et al, PLoS one, 2011)。また最近我々は、Hhシグナルの起動蛋白であるSmoを上流で制御するPtch1と結合し、Hhシグナルを抑制するペプチドを新たに作成した(Nakamura M et al, J Gastroenterol, 2012)。一方、膵癌患者では免疫寛容の状態となっており、この一因として膵組織線維化に伴い膵癌組織への免疫細胞浸潤が阻害されている可能性が考えられる。Ptch1ペプチド投与で膵癌線維化が抑制出来れば、腫瘍浸潤リンパ球が増え、免疫寛容状態が改善できるのではないか、と考え研究を施行中である。


2)新しい癌免疫療法の開発

現在、免疫チェックポイント阻害剤が、著効例があることより脚光をあびてきた。しかし、その奏効率は未だ低く、また高い重篤な有害事象の発生率も問題となっている。私たちは、分子Xが、活性化リンパ球の増殖・浸潤・細胞傷害活性を制御する新たな免疫チェックポイント分子(非抗体型)となり得ることを見出した。新たな免疫チェックポイント阻害剤開発に向けて研究を続けている。